歯医者の常識・非常識
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歯医者では虫歯を治せません。
こう言うとヤブ医者か?と思われるかもしれませんね。しかし、仮に世界一の歯科医がいたとして、その歯科医も虫歯を治すことはできません。出来ることは、虫歯を取り除いて、“代わりになる材料で”、“歯のような形をしたもの”をつめたり被せたりするだけです。
絶対に元通りにすることは出来ないのです。神様の作ったものから人の作ったものに変わるわけです。そして、毎日休むことなく、過酷な状況の中で使用されることになります。
家でも、車でも手入れすることなく使えば数年で問題を起こしますよね。
人工の歯も同じです。所詮、人が作ったもの。
ですから、まず、削らないこと。これが重要なのです。
歯医者は歯周病を治せません。
歯周病ってご存知ですか?そうです。歯のまわりの歯茎が腫れたり、骨が溶けたりする病気です。最近はテレビでもやっていますよね。
今のところ、少しであれば骨を取り戻すことが可能になってきていますが、やはり歯医者には失った骨を元通りにする術がまだありません。
今の状態を保つために治療をする、つまり進行を止めるのが精一杯です。
ですから、まず歯周病にならないこと。
もしなってしまったら、高血圧や糖尿病のように生活習慣病と考えて、とにかく進行させないようにしていくしかありません。
入れ歯で元通り?にはなりません。
無くなったら入れ歯を入れればいいんでしょ?そしたらまた普通に食べられますよね・・・
大きな間違いです。考えてみてください。例えば足を不幸にも失った場合、義足になって以前のように走ることが出来るでしょうか。大変な努力をしてやっとなんとか歩ける状態になることが出来るのではないでしょうか。
口の中も同じです。
入れ歯での噛む力は歯があった時の3割くらいと言われています。
しかも、入れ歯になれる努力をして、その程度です。
その結果と努力を考えたら、歯を失わない努力をすべきだと思いませんか。
歯医者は歯が痛くなったら行くところ?ではありません。
歯科の病気には突然起こるものはほとんどありません。徐々に進行してある日痛みを伴ってくるものがほとんどです。
ということは痛くなってからでは手遅れのことがほとんどだということです。
出来れば削らなくて良い状態でいること。
もし残念ながら削った場合、出来るだけ精度の高い、信頼できる材料で修復するのが理想です。
そしてしっかり手入れをすることが必要です。
そう、予防のために歯科医院に通うという考えが必要なのです。
歯みがきでは虫歯は防げません。
もちろん歯みがきの習慣はとても大事なことです。しかし、歯みがきをすれば虫歯を防げるわけではありません。虫歯菌はとても小さく、歯の溝の中まで歯ブラシで掃除するのは不可能です。さらに歯と歯の間を歯ブラシだけでしっかり清掃することも非常に困難でしょう。
虫歯にならないためには、日常の食生活を改善する必要があります。
虫歯になる原因の糖をダラダラと摂らないこと。
甘いものを食べるなら、時間を決めて食べましょう。
食後に一緒に摂るのがいいですね。
ただ、歯みがきが無駄、というわけではありません。
ふっ化物入りの歯みがき粉は歯を強くしますし、食べかすを取り除くことに一定の効果はあります。
それから、歯周病予防に一番必要なのは歯みがきです。
ですから、歯みがきはとても大事なのですが、虫歯を予防することはそれだけでは難しい、ということを覚えておいてくださいね。
生涯自分の歯で暮らすためには
生涯、自分の歯で健康に暮らすためには歯を失わないことが必要です。
あたりまえですよね。
そのためには、歯を失う理由を口の中からなくすことです。
では、歯を失う理由ってなんでしょうか?大きく分けて、4つあります。
最初の二つはご存知、虫歯と歯周病です。
もうひとつは“かみ合わせ”つまり力の問題です。どこかに異常な力がかかるかみ合わせであると歪みが起こり歯を壊す方向に進みます。もちろん、歯並びが悪いと虫歯や歯周病のリスクが大きくなるのはお分かりですね。
そして、最後のひとつは医原性の問題です。あっていない、あるいはかみ合わせがうまくいっていない修復物が問題をおこしたり、根の治療がうまくいかず中で膿んでしまったりするとどんどん悪いほうに向かっていくことになります。
できれば歯を削らないことです。
さて、そのような、歯を失う原因を取り除くことが治療であり、その状態を保つことが予防となります。そうすれば、生涯自分の歯で暮らせる、ということになります。
しかし、残念ながら、日本の歯科医療では原因を取り除く治療ではなく、痛みや不具合を取り除くだけの対症療法が行われています。その結果が80歳までに失う歯の数が平均15本というのに対し、原因治療や予防が進んでいる北欧では80歳までに失う歯は2、3本ということです。
ですから、まずはとにかく、予防のために歯科医院を利用する。
もし、治療となってしまったら、具合の悪いところだけではなく、お口全体をひとつのものとして考え、バランスを考慮しながらよい方法をとる、という包括治療の考え方が必要です。
生涯美味しく、笑顔で過ごせるように、今から予防歯科を始めましょう。