どうして歯並びが悪くなるのでしょう?〜子供の矯正治療の考え方〜

どうして歯並びが悪くなるのでしょう?〜子供の矯正治療の考え方〜

歯並びが悪い子供

最近、子供の歯並びがよくないとよく言われます。

確かに検診などで多くの子供たちを見てみるとほとんどの子が

ちゃんと並びそうにありません。

そしてテレビなどでもかみ合わせの重要さが議論されるようになり、

ますます歯並びを整える必要性が浸透してきているようです。

そこで、歯科矯正治療について当院の考え方を書いていきたいと思います。

まず、歯並びが悪い、といったらどんな状態を思い浮かべますか?

そう、一つは歯がでこぼこに生えて、ガチャガチャに並んでいるケース。

そして、もう一つは出っ歯や受け口という上下がずれているケース。

あとは、左右にずれているケースもありますね。

まず一つ目から。

なぜ、歯並びがでこぼこに生えてしまうのでしょうか?

単純に考えると全部の歯が口の中に生える場所を確保できないということがあげられます。つまり、歯が生えるあごの骨の成長が足らず、歯を全部順に並べるスペースが不足してしまうということです。

では、なぜそんなことが起こるのでしょうか?

キーワードは”筋肉”です。歯の周りにある筋肉。そうです。ほっぺたの筋肉であり、唇の筋肉、そして大きな筋肉のかたまりである舌があごの骨を形作っているのです。

とりわけ、あごの骨を拡げるのに活躍しているのが”舌”なのです。

舌が正しい働きをすることによってあごの骨はバランス良く成長します。

次に、なぜ歯がその場所に並ぶのか?もうお分かりですね。そうです。

ほっぺたと口唇の筋肉と舌との間に並ぶのです。ですから、そのバランスが悪いと外側へ倒れて出っ歯になったり、内側にたおれて反対になったりするのです。

と、すると矯正治療を行うためには口のまわりの筋肉が正常に働くようにならないといけないわけです。この点をふまえておかないと、抜歯しないといけなくなったり、何とか並んでも後戻りしたりするわけですね。

次に、なぜ、受け口になったり、出っ歯になったりするのでしょうか?

上下のあごの位置がずれてしまう状態で、上が前に出過ぎると、出っ歯となります。

逆に下が前に出過ぎると、受け口ということですね。

また、下顎が左右にずれていると顔も歪んで見えますね。

なぜそうなるのでしょうか?

もちろん、遺伝の問題はあると思います。しかし、その影響は30%未満と言われています。

例えば、小さい時はとても可愛かったのにだんだんと顔が歪んできた、といったことがありませんか?

そう、つまり、出生後の環境により変化していくのです。

ではどのような力が働いているのでしょうか?それには、3つあります。

一つは、”噛む力”です。しっかり噛むことなく軟らかいものばかり噛んでいるとバランスが整いません。また、左右どちらかのみでばかり噛んでるとそちらにずれていく傾向があります。右腕ばかり使うスポーツをしている人は腕の太さが違いますよね。あごの筋肉も同じなのです。

次に、”態癖による力”があげられます。態癖というのは例えば、ほおづえやうつぶせに寝ることによりあごに不自然な力がかかる状態をいいます。そんなことで変化するのかと不思議に思うかもしれません。しかし、実際に歯を矯正する場合にかかる力は数十~数百グラムです。頭の重さが5,6キログラムあることを考えると歯やあごを変化させるのに十分な力であるのがわかると思います。

さて、3つめですが、これがあごの位置変化に最も影響を与えるといってもいいと思います。

その力とは・・・?

地球の力・・・そう、”重力”です。

どういうことかわかりませんよね。具体的に言うと、体の”姿勢”です。

たとえば、今そのままカチカチと上下の歯を噛み合わせてください。その当たる位置を覚えていただいて、今度は上を向いてカチカチしてみてください。当たる位置はどこになったでしょうか。通常、当たる位置は奥にずれます。

では、次に下を向いてカチカチしてください。当たる位置は前にずれるのがお分かりかと思います。そして、その位置をいつも保つような姿勢をとると・・・そうです。

特に子供の場合は姿勢によってあごの変位が起こりやすいのです。いつも猫背であごを突き出した状態でいると受け口になりますし、スマホゲームをやってあごを引いていると下あごは後退して相対的に出っ歯になります。

さて、今までお話したことを考えていただければ、矯正治療において、口腔周囲筋、さらには全身の筋肉のバランスが重要であることがご理解いただけると思います。

したがって、当院の矯正治療では装置を使うことはもちろんですが、その前に筋肉の使い方やバランスを整えるためのトレーニングがとても大切になります。

つまりは、日常生活における姿勢や食べ方、寝かた、といった部分を変えていかないと良い結果は得られないということです。

実際はもっといろいろな要因があるのですが、それについてはまたお伝えします。

まずは、あなたのお子さんをよく観察してみてくださいね。