総合治療の考え方

私たちの体は、ひとつのシステムになっています。
口の中も、それぞれの部位が相互に作用しあって、機能を作り上げています。
食べることも、話すことも、歯と舌、それを取り巻く骨や筋肉がそれぞれ調和することによって、成り立っています。
だからこそ、治療に関しても一口腔単位、さらには一個人の全身を考えてすすめるべきだと考えています。では、生涯自分の歯を保つために必要なことはなんでしょうか?
そうです。歯を失わないことですね。そして、そのためには口腔を病気にさせないことです。

口の病気の原因は3つ

では、口腔内が病気になる原因とはなんでしょうか?
これには3つあります。
ひとつは、細菌。
もうひとつは、機能と関係のない異常な力。
そして、3つ目に間違った(身体の意図に反する)かみ合わせです。
この3つの原因から身体を守るには、あるいは治療するにはどうすればいいのでしょうか?

細菌のコントロール

虫歯菌、歯周病菌といった言葉をどこかで聞いたことがあるかもしれません。
そう、その虫歯菌、歯周病菌が口腔の病気をおこす原因の一つのなっています。
そして、その細菌をコントロールすることが病気にならないために必要なのです。
まず、口腔内を破壊する敵を知ることが重要と考えます。虫歯菌が、歯周病菌がどんなふうにどのくらい存在するのか?それを知ることによりはじめてその人に合った対策をたてることができます。当院では培養検査や位相差顕微鏡を用いることで細菌の存在を確認してから対策を立てています。そして、細菌をやっつける方法は、薬と機械的清掃が中心となります。

力のコントロール

機能と関係のない異常な力、これを「非機能的力」と呼んでいます。たとえば、歯ぎしり、くいしばり。特に寝ている時の歯ぎしり、くいしばりには100キロから200キロの力がかかっていることもあります。あるいは、擦り減ってしまった歯はなまった包丁と一緒で、食べ物を切ったり、つぶしたりするときに余計な力が必要となります。これも「非機能的力」となり、口腔内を壊していきます。
当院では力の確認、そして歯列全体のバランスを確認するためにDePROSという検査機器を導入いたしました。これによって、見ることのできない“力”という存在を評価できるようになりました。また、調和のとれた咀嚼運動ができているかの確認も従来は困難でしたが、アルカスディグマという装置により、こちらも評価できるようになりました。

適切な噛み合わせ

「かみ合わせ」とは、上下顎の位置関係のことを言います。その関係を作っているのは咀嚼筋などの、口腔周囲筋です。その“筋肉”が無理をしない、適切な上下関係を作ることが重要です。
例えば、かたついたハサミで物を切ろうとしても、刃がうまくあわず、イライラしたことはないでしょうか?筋肉の調和のとれた顎関係は1点しかありません。それを見つけ出し、再現できるかみ合わせを作ることが、適切なかみ合わせを作るということなのです。
適切なかみ合わせと作るために、そのかみ合わせが身体にとって適切なのかを評価する必要があります。そして、それを正確に再現する歯を作り上げる必要があります。
それを可能にしてくれるのが、プロターシステムです。これは、3次元顎運動測定器であるアルカスディグマ、現在では最も正確な咬合器システムのひとつであるプロターevo7咬合器とアルカスフェイスボウで構成されています。