歯並びを変えるということ
歯並びを変える理由には3つあります。
1.いわゆる見た目、審美的な問題
2.上下の歯がうまく噛み合わされていない、機能的な問題
3.歯ブラシが届かない、あるいは届きにくいという清掃性の問題
の3つです。
もちろん、見た目を治しても機能的な問題が残るようでは本末転倒です。
2と3に関しては結果として必ず改善されるべき課題となります。
いつやるべきか?
何歳でも歯と歯周組織が健康であれば、矯正治療は可能です。
しかし、成人すると骨格の変化はほぼ無くなりますので、成長期を利用して歯並びを骨格とともに整えるというのがベストです。
ですので、問題が起きているのであれば、早ければ早いほどいいと言えるでしょう。
起こりうる問題点
ミクロン単位では動かせない
私たちの歯はミクロン単位の変化を感じとります。それだけ精密なセンサーがあるのです。
しかし、矯正治療に関してはそこまで精密に動かすことはできません。
ゴルフで言えば、カップインすることはできず、グリーンに乗せるのがゴールになります。
あとは人間の柔軟性や適応能力に頼ることになります。
だから、子供の時に治療するのがベストだと言えるのです。
治療後は必ず後戻りする
今の歯並びはあなたが長年かけて、作ったものです。
歯の周りの筋肉がそうなるように働いた結果なのです。
だとすると、後戻りするのも当然の結果です。
それを避けるために、原因となっている筋肉の働きを改善する訓練が必要であったり、後戻り防止の装置を安定するまで入れる必要があるのです。
後戻り防止装置は一般的に動かした期間の倍の時間必要だと言われています。
つまり、1年かけて動かしたなら、2年間は後戻り防止装置が必要だということです。
マウスピース矯正
マウスピースを入れ替えることで、少しずつ歯を動かすという方法です。
ワイヤーのように目立たないのと、人前で話したりする場面で簡単に外すことができるのが利点ですが、反面、面倒で外しっぱなしにしておくと治療が進まなくなります。
近年かなり広がってきている治療法ですが、じつは20年以上の歴史があります。
私(院長)も2006年にニューヨーク大学で知ったのですが、その頃は適応も限られていて、とても使えるものではないと感じていました。しかし、その後、大きく改善され、ほぼ全てのケースで治療可能となっています。
ワイヤー矯正
従来からよく知られている方法です。
歯の表面にブラケットという器具をつけて、それをワイヤーの力で動かしていきます。
マウスピースのように外すことができないので、治療のコントロールはしやすいですが、清掃性がわるくなるので虫歯や歯周病のリスクが高くなり、注意が必要です。
矯正治療の流れ
まず、診査診断です。
なぜ今の歯並びになったのか、どんなところが問題なのかを洗い出し、
どんな治療法を使えば改善されるのか、ゴールをどこに設定するのかを決めます。
そのあと、実際設定した装置をつけて治療開始となります。
治療期間中は1〜2ヶ月に1度来院し、装置のチェックと調整、クリーニングを行います。
場合によって、筋機能訓練が必要になることもあります。
多くのケースでだいたい1年から3年の治療期間を経て、終了となり保定期間という後戻り防止装置をつける期間に入ります。
治療期間と費用
治療期間はケースによって違いますので、一概に言えませんが、多くのケースで1年半から2年くらいが多いです。
治療費は目的によって違います。幼児期の正しい成長を促す1期治療なのか、全て永久歯となった2期治療なのか、成長の終わった成人矯正なのか、あるいは部分だけの治療なのかによって変わってきますので、矯正相談などで個別にお伝えすることになります。
咬合育成という考え方
先ほどもお伝えしましたが、歯並びはそうなるべくしてなっています。
遺伝が30%。あとは成長期の食べ方、話し方、姿勢などで口の周りの頬や舌、口唇といった部分の筋力によって歯が並ぶのです。
ですから、矯正治療も大切ですが、林歯科医院では健康な歯並び、噛み合わせを作る姿勢や食べ方、寝かた、話し方を育てる「咬合育成」という考え方を大切にしています。